佐野みそ本店三代目 佐野正明

「なぜ味噌は1300年もの間、日本人に好まれて来たんだろう?」
「なぜ日本のソウルフード(魂の食べ物)と呼ばれるんだろう?」
私の三代目修業は、そんな探求からスタートしました。
その仕事に一生をかける以上、一生をかける意義を見出したかったのと、
社員さんたちとその意義を共有しながら
共に汗を流したかったからです。
味わい深くて美味しいから?
美容と健康に良いから?・・・
どれも正しいと思います。
しかしどれもしっくりきません。
味わい深くて美味しいものや、美容と健康に良い食べ物なら他にも沢山あるからです。
どの理由も、味噌の本当の価値を表しているとは思えませんでした。
ある日、「お客様に聴いてみよう」ということになりました。
「お味噌、みそ汁と聴いて、何を連想しますか?」
答えは意外なものでした。
「お母さん」「おばあちゃん」「夫です」「妻です」・・・
多くの方々から、大切な人との思い出とともに、お味噌、みそ汁が
あることを教えられたのです。


「俺はね、両親が共働きだったから、ばあちゃんに育てられたようなものなんだよ。
みそ汁を飲んでいると「どうだ? おいしいか?」って
顔をのぞき込んでくるんだよ。その顔を思い出すなあ・・」と
語ってくれた40代の男性。
「新婚のとき、一生懸命につくったみそ汁を、夫が
『お前のつくるみそ汁、好きだな』と言ってくれたのが嬉しくて・・・。
だから今でもみそ汁だけはこだわって作るんです。」
という30代の主婦の方。
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本当に様々な、心温まるエピソードを、
私たちは聴くことができました。
お味噌、みそ汁って、人と人、家族同士を結びつける絆なんだ!
心に染みる一杯だったんだ!
だから、ずっと日本人に大切にされてきたんだ!
味噌の文化を守り、広めていくことは、人にほっとするひとときを感じてもらうこと、
人と人、家族の絆をつくっていくことなんだ!
それは私たちの大きな気づきでした。
今、この国の食卓から、味噌が少しずつ、失われつつあります。
食の洋風化、個食化・・・
理由は様々ですが、
一番の理由は、「味噌の価値」を日本人が忘れかけていることではないでしょうか。
私たちの使命は、味噌の文化を守り創りつづけること、人々の絆を創りつづけることです。
ぜひ一度お店にお立ち寄りください。
お会いできます日を、社員一同、心より楽しみにいたしております。